渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「っ……本当に、良かった……っ」
姿が見えなくなって、カルデアは堪らず泣き出す。
そんなカルデアの肩を、ガイアスは優しく引き寄せて、抱きしめた。
「ガイアス、あなたには感謝しても足りないわ……っ」
「カルデア……それは、俺も同じだ」
「え……?」
どういう意味かと視線で問えば、ガイアスは優しい眼差しでカルデアの潮風で乱れた髪を耳にかける。
その仕草一つ一つに、ガイアスの優しさを感じて、カルデアの心は温かくなった。
「お前という存在が、俺の人生に愛という彩りをくれる。お前と出会って、俺はより民や城の人間の気持ちを組む事が出来るようになった。お前は、俺を導く太陽のようだな」
「あ……ふふっ」
(まさか、ガイアスが私を太陽だと思っていただなんて……。おかしいわ、私もあなたを太陽のようだと思っていたから)
同じ事を考えていた事に、カルデアは嬉しくなって笑みを零した。
「俺は、なにか可笑しな事を言ったか?」
笑ったカルデアを、ガイアスは不思議そうに見つめる。
カルデアは「いいえ」と首を横に振って、ガイアスの手を握り、指を絡めた。
「私も……あの塔から、あらゆる柵から連れ出してくれたあなたを……太陽のように思っていたわ」
(いつも、誰かのために世界を照らし、誰かのために怒り、戦う……灼熱の太陽のようだと)
そんなガイアスに、カルデアは最初から惹かれていたのかもしれないと思った。