渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


「なら、俺達は二人で……あの大空に登り、永遠に輝こう」

「えぇ、人々の道しるべとなりますように」



ガイアスとの距離が縮まり、カルデアは自然と目を閉じる。

すぐに降りてきた、唇に触れる温もりに、カルデアは思う。

こんなにも誰かを愛するなんて、過去の私には想像もつかなかっただろう……と。

政略結婚の虚しさも、未亡人であった時の喪失感も、奴隷船での恐怖も、何もかもが苦しかったあの時間。

もし時が巻き戻せるとして、あの辛い日々をもう一度送る事になったとしても……。



「愛している、カルデア……」

(この人に出会うための痛みなら、喜んで受けましょう)

カルデアにとって、過去以上に大切な宝物は、ガイアスと生きる今にある。


「愛してる、ガイアス」


カルデアは沸き上がる幸福感に身を委ねるように、ガイアスの口付けに酔いしれた。



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