渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
航海する事、一週間。
嵐にも見舞われて予定より遅い到着ではあったが、カルデアとガイアスはナディア国の港へと辿り着いた。
「カルデア様ーーっ!」
港に到着するやいなや、マオラが泣きながら突進するかのようにカルデアに抱きつく。
「マオラ、迎えに来てくれたの?」
カルデアは予想だにしない待ち人に驚きながら、マオラを抱きとめた。
マオラは涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔で、カルデアを見上げる。
「カルデア様が奴隷船に攫われたと聞いてから、いても立ってもいられなくて……っ」
「マオラは、着いて来るって聞かなかったんだが、流石に危険だったからな」
私がいなくなった時の事を、ガイアスが説明してくれる。
カルデアはそれを、マオラの頭をあやすように撫でながら聞いていた。
「本当に、ご無事でっ、良かっ……たっ」
「マオラ……ありがとう、ただいま」
(私を、待っていてくれる人がいるという事は、幸せな事ね……)
しゃくりあげるマオラを、カルデアは妹にするようにギュッと強く抱きしめた。