渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
二章 お気に召した贈り物


ナディア国にやって来て、早一週間が経った。
カルデアは、窓辺にもたれて、ぼんやりと外の景色を眺める。


まるで宝石を散りばめたみたいに、太陽に乱反射した海、白亜の建物に囲まれた美しい国。


月一で開かれるバザーに、城下町の民たちも賑わっていて、人が人らしく生きるとは、まさにこの事だとカルデアは感じていた。

この国の民は、使用人や商人など、自分の仕事に自信を持っており、皆が俯かず前を見据えている。


「人に誇れるモノがあるという事は、とても大事な事だったのね……」


(では、アルナデール国はどうだっただろう……。民たちは、生きる希望も持てず、俯いてばかりいたわ)


そうさせてしまうのは、やはり王家がきっちり国を治められていないからだと、ここへきてカルデアは思い知らされた。


ーーコンコンッ。

「カルデア様、マオラです!」

「あ……えぇ、入ってください」


声を掛けてから部屋に入ってきたのは、揃った栗色の前髪に三つ編みをしたマオラ・レーヌだった。


マオラは十五歳という若い王妃付きの待女で、カルディアの身の回りの世話をしてくれている。


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