渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデアも、すまなかった。俺はあまり女の扱いに慣れてない。うまくエスコートが出来ず、お前に嫌われないといいが……」
「ガイアス様……」
しゅんとしているガイアスは、カルデアに許しを乞うようにその手を取って甲に口付ける。
それにドキリとしながらも、カルデアは笑みを浮かべた。
「ですが、それがガイアス様のいい所でもあります」
「カルデア……!」
ガイアスの顔に笑顔が浮かぶと、カルデアは嬉しい気持ちになる。
マオラには、「カルデア様はガイアス様に甘すぎです」と呆れられてしまった。
ガイアスに連れられて、山のふもとへとやってくると、鷹狩が始まった。
ガイアスの鷹は利口で、すぐに兎を咥えて戻ってくる。
「ほら見ろ、ジルが早速獲物を捕らえたぞ」
ジルとは、ガイアスの鷹の名前で、ガイアスはその背を褒めるように撫でている。
ガイアスは力なく咥えられている兎を手に、カルデアに自慢げに見せた。
「きゃあ!」
カルデアはその光景に衝撃を受けて、悲鳴を上げる。
(恐ろしくて、とてもじゃないけれど、見られないわ……)
悲鳴を上げたカルデアに、ガイアスは手元の兎を見つめると、「もしかして、俺はまたやってしまったのか……」と落ち込む声がカルデアの耳に届く。