渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「俺が幸せになるために、お前が必要だと言ってる」
「…………」
何も、カルデアは答えられなかった。
カルデアの心がこんなにも痛む理由は、一つしか無い。
もしかしたら、見て見ぬ振りをしていたのかもしれないと、カルデアは自嘲的に笑う。
「さぁ、残りのお粥を食べてください、ガイアス様」
平然とした態度で、ガイアスの口元に蓮華を運ぶカルデア。
ガイアスは何か言いたげにカルデアを見つめていたが、カルデアは気づかないフリをした。
(……私は、ガイアス様を……好きになってしまった)
そう心の中で認めると、嬉しさと共に虚しさが込み上げてきた。
気づいてはいけなかった想いに、カルデアはそっと蓋をする。
たくさんの優しさをくれるガイアスの障害になる事だけは、あってはならないと、カルデアは自分に言い聞かせるのだった。