私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
イメージ大崩壊の女


土曜日の夜の電車内は、今日に限って朝の通勤ラッシュ並みに混んでいた。自宅のある最寄り駅に降り立ち、外の空気を吸って、少しホッとする。

改札を抜け、空を見上げると、さっきまで滝のように降り続いていた雨はすっかり上がっていて、雲の隙間から星が瞬いていた。

そういえば、もうすぐ花火大会だっけ……。

駅前の商店街に貼られたポスターを横目で見ながら一人、家路を急ぐ。花火大会なんて、最後に行ったのはいつだろう。まあ、今年も行く相手はいないんだけど。


さっきまで会ってたあの男の子とは、もう次は無さそうだし……。





------

--なんか、違うんだよな……--


時を遡ること一時間前。
私と並んで歩く若い男の子が、独り言のようにボソッと呟いた。少し癖のある茶色の髪、小さい顔、丸く大きな瞳。年下の、今時のかわいい系男子といった感じ。二人きりで会ったのはこれで二回目だ。

えっと、何の会話してたんだっけ……。そうだ、さっき観た映画の話をしてて、また違うのも観てみたいねって、話の流れから私が言ったら、彼は少し苦笑いして、押し黙ってしまった。


< 1 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop