私は対象外のはずですが?~エリート同僚の甘い接近戦~
いや……別に次の約束を取り付けようと思って言ったんじゃないんだけど……重く聞こえたのかな……?

そう思っていると、さっきの言葉が耳に届いたのだった。

私には分かった。その言葉に決して良い意味は含まれていないということが。むしろ、その逆だ。

どうやら付き合う前に、彼の中のふるいにかけられ、私はその網目から溢れ落ちてしまったらしい。

駅まで送ってくれたことを感謝して、相手に笑顔で手を振る。また連絡するよ、と彼は言ったけど、そんな気はさらさらないことは分かっているし、期待もしていない。

ああ、乗る電車の線が違ってて、本当に良かった。だって、気まずいもん。

混雑した車両の中、吊革を握りしめ、ぼんやりと雨に濡れる窓を眺めた。

不思議と落ち込みはしなかった。もちろん悲しくもない。

私の中にあったのは、またか、という簡潔な“感想”だけ。



恥ずかしながら、私にはよくあることなのだ。


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