私は対象外のはずですが？～エリート同僚の甘い接近戦～

それは私の本心だ。

「タクトくんはいい子だったよ。優しかったし。それに楽しかったよ」

でも、何か弟みたいで、残念ながらときめくものは……無かった。それは、きっと彼が私に対して求めるものが見え隠れしていたからだと思う。

こんな感じが続いていたら、きっと私もしんどくなって、彼から言われなくても私から言っていただろう。

私はあなたの理想ではない、と。



私は昔から勘違いされやすい。それは、外見の印象と大きく結び付いている。

身長百六十七センチ。同世代の女子と比べて高い方。スタイルは普通。仕事中は後ろで束ねている色素の薄いセミロングの髪は、ほどくと緩くうねっていて、パーマをかけていると時々周囲に思われるけど、何の手も加えていない、ただのくせ毛。天然パーマってやつ。もちろん髪色もカラーリングしていない、生まれ持った元の色。

それでいて目鼻立ちははっきりしている方なので、わりと目立つ。……目立ちたくはないけど。

四人姉妹の長女ということもあって、親に我がままを言ったこともなく、聞き分けのいい子ちゃんで育ってきた。学生の時も断れずにクラス委員とか、ゼミのリーダーとか引き受けてしまってたし。

それは就職してからも変わることなく、嫌な顔を見せずにひたすら頼まれた仕事をこなす日々。トラブルにも落ち着いて対応し、加えてこの容姿なので、いつの間にか周囲には、“頼れるお姉さんキャラ”が定着していた。

これまでずっと、いい子ちゃんで来た私には、自然と周りの期待に応えてしまう癖が身に染み付いてしまっていて。

本当は、内心いつもテンパってるんですけどね！