キミとの記憶を失って、また過ちを犯しても。
ピッピッピッ。
目を開けるとそこには先程のクラスのみんなが涙で迎え入れてくれた。
私、今年何回ぐらい人を泣かせたろう。
「田中っち!良かった!目を覚ました!」
まず初めに抱き着かれたのは美雪ちゃんだった。
「みこは?みこはどうなったの!?」
「安心して!みこはもうとっくに目を覚ましてとっくに退院してるから!」
え…。いつの間に?!
「あっちんは丸々三日間も意識が戻らなくて!先生達に最悪な場合にも備えてくださいって言われて!もう!私!グスッ!」
今度は名雪ちゃんが泣きながら抱き着いてきた。
「みんな…。ごめんね。私なんかのせいでお別れ会も中止になっちゃったし…。それに卒業式も終わっちゃったよね。あーあ。私なにやっ…」
その先を言おうとしたのに潤君に邪魔された。
「おい。お前。お前が悪いんだよ。せっかく用意したのによ。ただ単に倒れただけ…」
そんなことを簡単に言う潤君にムカついてムカついてたまらなくなってしまった。
爆発しそうだ。やばい。そう思ったときにはもう遅かった。
「そんなの!簡単に言わないでよ!私だって!何回も入退院繰り返して嫌なの!それなのに…体は言うことを聞かないし、これ以上私に苦しめっていうの?!だったら私、死ぬから。」
"死ぬから"この言葉を聞いたとき潤君どんな顔をしたと思う?
泣きそうな顔?違う。怒った顔?違う。嬉しそうな顔?全然違う。
答えは…冷ややかな目で見捨てたような顔をしてたの。
< 125 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop