キミとの記憶を失って、また過ちを犯しても。

｢なぁ。拓。本当にあっちゃんっているのかよ。｣
親友の潤は言う。
｢当たり前だろ。あこはこの高校に居るって聞いたから来たんだからな。｣　
自信満々にいったが、正直不安だ。

ふと横を見るとあこに似た顔つきの女の子がこちらを見ている。
でもすぐに歩いて行った。

｢今見てた女の子。学校一可愛いと言われている子だぜ。名前は確か、田中あこ。だったかな｣
｢っ！！｣
勢いよく立ち上がった。
俺は驚いた。だってまさか本当にあっちゃんだった何て思いもしなかったからだ。
潤は驚いたのか、
｢おい。どうしたんだよ。拓。｣と顔色をうかがいながら顔を覗き込んできた。

｢あ、あぁ。大丈夫だぜ。それより帰ろう。もう少しで暗くなるし。｣
深呼吸しながらそういった。
｢そうだな。田中さんも帰ったしな。｣
潤の横顔はほんの少し赤かった。