キミとの記憶を失って、また過ちを犯しても。
『あっちゃん。あっちゃん。どこにいるの?会いたいよ。』
幼い俺は必死に思いを伝えた。

『たっくん。あっちゃんね?お引越しするの。遠い所に行くんだよ。でも忘れないでね。』
そういってあっちゃんはふわりと笑った。

「拓。拓。おーい。」
潤の声がする。けどまた眠気が襲ってきた。
そしてまた俺は深い夢の中にはいっていった。

『始めまして!田中あこだよ!皆はあっちゃんって呼ぶんだ!あなたは?』
きっとこれは初めてあったときの夢。

『始めまして…。星野拓だよ。皆はたっくんって呼ぶんだ。よろしく。』
そうして握手を交わした。

『たっくんね?おーい!みんなー!たっくんも入るってー!』
あこは叫んだ。

『何に入るの?』

『鬼ごっこだよ!たっくんが鬼ね?みんなー!逃げろー!たっくんが鬼だよー!』
急に言われて驚いている。
そんな俺を置いて、うわー!っと皆逃げていく。
だが俺は足が速かったから、そんなこともなかったかのようにすぐに皆捕まえた。

『捕まっちゃった!たっくん速ーい!ね?みんな!』
みんなに問いかけるあこ。
『『『『『うん!たっくん凄ーい!』』』』

誇らしげな顔をする俺。
なんか我ながらかわいいと思った。
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