キミとの記憶を失って、また過ちを犯しても。
こうして名雪との涙を流していると。
コンコンとドアを叩かれた。
「田中さーん。山内先生がお呼びです。」
「「はーい。」」
私達は一緒に診察室へ入った。
「先生。どうしたんですか?」
名雪が不安そうに問い掛けると、先生は険しい顔をして沈黙を作った。
その沈黙を破ったのも先生だった。
カチカチ。カタカタカタカタ。
パソコンの操作音が沈黙の中響いている。
「…田中さんは…悪性腫瘍です…。大変申し上げにくいんですが…もう手術はできない状況です」
その時の名雪顔ったらおかしいったらありゃしない。
「プ!アハハハハ!なにその顔!しわくちゃのおばあさんみたいだよ!」
名雪は苦笑。
私達は先生に向きなおる。
「それで、私はどうなるんですか…?」
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