キミとの記憶を失って、また過ちを犯しても。
少しの間だけ…
「…好き…男として好きだよ。」ハッ!思わず言っちゃった…。顔がぽっと暑くなる。
「俺も…女として好きだよ。あこ。」元気君も赤い。
あ、伝えなきゃ!たっくんの事。
「あのね?お願いがあるの。私が退院して、学校通えるようになったら、別れて欲しいの。」
「何でだよ。もしかしてまだたっくんとやらの事を…好きなのか?」
「そうなの。でも少しだけ元気君に惹かれてたの。割合としてはたっくんが上だけど。」
「たっくんが告って来たら、付き合うんだよな。」
「うん。そうかもね。わがままだってことは知ってるけどこれだけは伝えておきたくて。」
「そっか。了解。ほんとは渡したくないけど」
「じゃあ少しだけの間、よろしくお願いします。」
少し合間が開いてから…目をつむって元気君が口を近づけて来た。
私も反射的に目をつむった。チュ!
「なあ。あこ。お前、君付け辞めろよ。俺達もうカレカノ何だからよ。」
こう呼べば良いのかなと呼んでみた。
「そうだね。元…ちゃん」
「そうじゃねえよ。元気って呼べ。」
「元気…好きだよ…」
「ちょっ!お前、可愛すぎるだろ…。」
私達は期間限定のカレカノになった。その後、たっくんがお見舞いにきたらたっくんには言わないでおこうと約束した。指切りげんまんはお約束。
でも、私、早く退院したいんだよね。
病院ってつまんないし、何もすることない。
そのせいか夜の8時には夢の中へと入って行った。
と思ったが逆に目が覚めてしまった。
何故か寝ようと目をつむるとキスした時のことを思い出して恥ずかしくなってしまうから。
結局この日は一睡もできなかった。
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