その少女、悪魔につき
男の人は、いくつになっても子供なのよねぇ。


母が言っていた、その言葉。

女の子は、大人になれるの?

そんなことを、母に聞いてた気がする。

その時は、母は誤魔化していた。
そして言った。


「何時か、分かるわよ」


その時の母の笑顔はとても輝いていた。
多分、その笑顔こそが正解だった。

女の子だって、いつでも子供になっちゃう。



初めて、授業をサボりたいなって思った。
まだ、このままで居たいなって。

我儘な私が現れた。


先程いた場所から第1音楽室までの距離は案外遠いもので、この校舎は広いからかなり着くまでに時間がかかる。


「ほんと疲れるな、この学校って」

「母校にそんなこと言っちゃダメでしょ」


そう、先生の母校なのだ。ここは。

お母さんには違うところに行きなさいって言われた。

貴女のレベルなら、もっと上のところへ行ける。

確かに、この学校は私のレベルよりかは低い。

だからと言って、平均して頭が悪いわけでもなく、それなりに偏差値は高い。


だから、私は中学校生活最後のテストで、私が取るはずのない点数を取って、今までの『良かった平均』を少しだけ下げた。


この学校に行きたかったから。

先生が、ここで先生をしているのを知っていたから。


「私、この学校好きだよ?」


「へぇー。まぁ、綺麗だしな〜」


先生は嫌いなのかな。
好きだったらいいのに。


好きだったら、お揃いだ。






「ほれ、着いたぞー」

「んー、先生言い訳してよね?」













ガラッと開けて、生徒の目が先生に集まった。


前に立つ、大きな背中は










「……すき……」









口でそう語っても、気づかないの。
< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop