スクールシンデレラ
文化祭まであと2週間に迫ってきた頃…
その日は、私がお茶だし当番だった。
普段は、放課後は役者さん達の練習場のため立ち入り禁止の教室に重いペットボトルを、片手に2本ずつ持ってやってきた。
ガラガラーーーーー
ドアを開けると一挙に視線が集まった。
慌てて目を逸らし、所定の位置に向かう。
「お飲み物お持ち致しましたので、どうぞ」
「あっ、じゃあ早速なんだけど、カルピスちょうだい。その紙コップに淹れて持って来て」
「じゃあ俺らはコーラで」
「あたしたちはお茶にして。カテキンが美には欠かせないのよ」
思い思いの飲み物を注文され、私はてんやわんやになりながらも一人一人に手渡した。
だけど、彼の分がなかった。
そういえば、さっき黙って窓の外を見つめていたような気がする。
お疲れなのかもしれない。
「あの、兵藤くんは飲み物いりませんか?」
「いらない」
まさかの即答。
そして、その言葉の冷たさ。
一瞬で心が冷凍された。
「すみませんでした。それでは私はこれで失礼します」
帰るしかなかった。
こんな澱んだ空気の中に長時間いたら窒息死してしまう。
忍者のように息を潜めて教室を横断し、私は教室を後にした。
その日は、私がお茶だし当番だった。
普段は、放課後は役者さん達の練習場のため立ち入り禁止の教室に重いペットボトルを、片手に2本ずつ持ってやってきた。
ガラガラーーーーー
ドアを開けると一挙に視線が集まった。
慌てて目を逸らし、所定の位置に向かう。
「お飲み物お持ち致しましたので、どうぞ」
「あっ、じゃあ早速なんだけど、カルピスちょうだい。その紙コップに淹れて持って来て」
「じゃあ俺らはコーラで」
「あたしたちはお茶にして。カテキンが美には欠かせないのよ」
思い思いの飲み物を注文され、私はてんやわんやになりながらも一人一人に手渡した。
だけど、彼の分がなかった。
そういえば、さっき黙って窓の外を見つめていたような気がする。
お疲れなのかもしれない。
「あの、兵藤くんは飲み物いりませんか?」
「いらない」
まさかの即答。
そして、その言葉の冷たさ。
一瞬で心が冷凍された。
「すみませんでした。それでは私はこれで失礼します」
帰るしかなかった。
こんな澱んだ空気の中に長時間いたら窒息死してしまう。
忍者のように息を潜めて教室を横断し、私は教室を後にした。