スクールシンデレラ
そんなある日のことです。


国王様の御命令で、王様や王子様など貴族が住んでいらっしゃる宮殿で舞踏会を開くことになったのです。

彼女はやっと外に出られることになり大喜び。


しかし、継母たちは彼女を許してはくれませんでした。


「お前はずっとここに居れば良い。お前はずっと私たちの下部だ!」

「じゃあよろしくね、かわいい妹ちゃん」

「じゃあね~」


継母たちは迎えに来た馬車に乗り込み、宮殿に向かって行ってしまいました。

追いかけようと走り出すと、転んでしまいました。


「どうして私だけがこんな目にあわなければならないの?」



涙がとめどなく流れ落ちていきます。

どうしようも無く、途方に暮れているとどこからか人の声がしてきました。


ここには誰もいないはず…


不思議に思った彼女は声のする方を見やると、なんとそこには魔女がいました。

そして、驚くことにかぼちゃの馬車が用意されていたのです。


「あら、こんにちは。私は魔女。もう何十年、いや何百年もここに住んでいるのにほとんど眠っていたから、魔法が効きすぎて色々用意しちゃったわ。あの馬も召使いもぜーんぶ私が出したのよ~」


「どうしてそんなに私のために?」


「それは、あなたに人生を楽しんでもらいたいからよ~。いつも楽しくなさそうにしているから、人生が楽しくて、刺激に満ちているってことを教えてあげたかったのよ」


「ありがとう、魔女さん」


彼女は丁寧に魔女にお礼をして、馬車に近寄っていきました。

乗り込もうとして、彼女は躊躇いました。

なぜなら、みすぼらしい服装だったからです。 


「あら、それでは舞踏会に行けないわね。私がそのドレスを煌びやかに変身させてあげましょう!」


そういうと魔女は呪文を唱えました。


「ビビデ、バビデ、ブー」


すると、少女の着ていた衣装が忽ち美しいドレスに変わりました。

少女は魔法を始めて見て大変驚き、感嘆の声を挙げました。


「さあ、最後に靴ね。とっておきの靴にしてあげましょう!」


さっきと同じ呪文を唱えると泥だらけの靴がキラキラ輝くガラスの靴へと変化しました。


「ありがとう魔女さん。これで私も舞踏会に行けるわ」

「ええ。但し気をつけて。魔法は12時で消えてしまうの。12時になったら何もかも元通りになってしまうわ」

「わかりました」

少女は魔女の言葉を忘れないように頭のノートにきちんと書き込みました。


「さあ、行ってらっしゃい。舞踏会、大いに楽しんでね」

「ええ。魔女さん、本当にありがとう」

少女はかぼちゃの馬車に乗り込み、家を後にしました。
< 21 / 25 >

この作品をシェア

pagetop