紫陽花が咲く頃に
「ハァ...江連(エレン)なんで置いてくわけ」
148cmしかない私は180近くあるソイツを見上げる。無駄に睫毛なんぞ長くなりおって、バサバサと長い睫毛をふせ疲れたように息継ぎをする。
「凜(リン)が遅いのが悪い、置いてこうと思ったのに」
「充分置いてってんじゃねーか」
コツンと頭を叩かれる。
くっそ、痛いじゃないか馬鹿め
ムカついたから、グリッと足のつま先を踏むも無視される。
「馬鹿」
「んだよ、急に。つか傘忘れたから入れて」
さっきのカップルを思い出す。
うわ、なんかやだな...。知らないカップルと同じ様なことするなんて。