紫陽花が咲く頃に


「ハァ...江連(エレン)なんで置いてくわけ」


148cmしかない私は180近くあるソイツを見上げる。無駄に睫毛なんぞ長くなりおって、バサバサと長い睫毛をふせ疲れたように息継ぎをする。



「凜(リン)が遅いのが悪い、置いてこうと思ったのに」


「充分置いてってんじゃねーか」



コツンと頭を叩かれる。
くっそ、痛いじゃないか馬鹿め


ムカついたから、グリッと足のつま先を踏むも無視される。


「馬鹿」


「んだよ、急に。つか傘忘れたから入れて」



さっきのカップルを思い出す。
うわ、なんかやだな...。知らないカップルと同じ様なことするなんて。

< 2 / 10 >

この作品をシェア

pagetop