ワケありルームシェア 2
緋山君がいない間、すごく寂しかった。家が広かった。話せる人もいなかった。触れる相手もいなかった。ご飯を準備する人もいなかった。すごく、すごく、寂しかった。前までは全然平気だった。緋山君が来てから緋山君は私にとって大事な存在になった。
「大丈夫………。信じてくれて、ありがと。」
緋山君も腕を回してくれる。恥ずかしいなんて今は感じない。ただ、緋山君に会えたことが嬉しくて。



「良かったな、螢。じゃあ、兄ちゃんは迎えが来るから。澪月ちゃんもじゃあな。」
「うん。じゃあね。」
いつからいたのか、瑶さんはスーツでどこかに去っていった。

「…グズッ、ひ、やまくんはもどってくる?」
「戻ってくるよ。」
一緒に帰る。だけど、今日は寄り道をした。彗君と一緒にバレーの練習をした公園に寄った。駅で泣きすぎて、気づいた頃にはもう空が赤から青っぽくなってきたところだった。
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