ワケありルームシェア 2
螢side

哀川さんが来てくれて、嬉しかった。自分のために泣いてくれて嬉しかった。まぁ、僕は元々家に帰るつもりだったけど。
これは兄さんが計画したことだった。僕がもし哀川さんの元を去るとしたら哀川さんはどんな行動をするのか。もし、来なかったらそのまま帰ってたかもしれない。だけど、僕の隣には哀川さんが並んでいる。これが結果だった。

「あ、緋山君。凄いね、もう星が見えるよ。」
星を指さす哀川さん。その横には丸い月が見える。こんな時間から見えるようになったんだなぁ。
空を指さす哀川さんを見て思う。やっぱり、僕は哀川さんが好きだ。3日間会わなくて改めて実感した。哀川さんが近くにいることが当たり前過ぎたんだ。
だけど、きっと、哀川さんは、僕のことなんて………………。


「ねぇ、緋山君……。」





_______________っ、月が、綺麗…ですね。






僕の方を見て。哀川さんの顔がみるみる赤く染まるのが分かる。
「えっ、」
ただの感想、じゃないよね。

じゃあ、期待してもいいですか。


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