ワケありルームシェア 2
「ねぇ、緋山君。シェイクスピアの本って読む?」
夕飯を食べ終わって、髪の毛を乾かしてもらっている時に突然聞かれる。
「え、…有名なものだったら読んだけど…。」
「そっか。」
「…急になんで?」
「緋山君が読んでる本は日本人作家さんが多いから外国の作家さんも読むのかなって。」
「別に何でも読むよ。」
「そうなんだ。」
ただそれだけ。それだけ話せるだけで、嬉しいと思ってしまう僕は異常なのだろうか。
もし僕が好きって言ったらどうする?なんて前に言ったけど、哀川さんは意識してくれているのかな。いいや、答えはノーだ。
哀川さんはきっと、そういう対象では見てない。だから、部屋に行かせたり、髪を乾かしたりしてくれるのだ。
はぁ、ここまで考えてしまう僕は可笑しいのか…。
「よし!乾いたよ!」
「ありがと。………哀川さん、明日から自分で髪乾かすよ。やってもらってばっかじゃ迷惑だと思うから。」
「え…?」
「じゃあ、それだけ。ちょっと部屋に行ってくる。」
自分の気持ちがわからない。
だから、少しだけ、距離を置いてみようか。
ルームシェア24日目、終了。