ワケありルームシェア 2
距離を置くってどんなんだろう……。と、考えていたらいつの間にか夢の中にいたらしい。気がついたら既に太陽は昇っていた。

「……おはよ。」
「…螢兄さん、遅い…………。」
「あっ、お、おはよう!」
哀川さんが控えめに声をかける。なんか、哀川さんのほうから距離を置かれている気がする。
「なんで、そんなに遠いの…?」
「え、えーと、昨日緋山君の気に触ることしちゃって嫌われちゃったかなって………。私のこと嫌になった?」
「え、なんで。」
「髪乾かすの、もう嫌かなって。…迷惑になってたならごめんね……。」
申し訳なさそうにする哀川さん。これって僕のせい?

「いや、別に嫌ってるわけじゃないから。ただ、哀川さんの自由な時間を潰しちゃってるかなって思っただけ。」

嫌ってない、いや、むしろ好きなんだけど。だけど、嫌ってないと聞いた哀川さんはすごく嬉しそうで。あぁ、やっぱり距離は置けないのかな、と決心が揺らいでしまいそうになる。

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