ワケありルームシェア 2
螢side

彗を預かってから結構たった日の昼頃。澄が家に来た。

「…ま、澄君…。その傷…っ。」
「あー、悪ぃ。迎えに来るの遅くなって。」
「と、とりあえず包帯…っ!」

澄はひどい格好をしていた。服は土や、血で汚れている。右手を抑えてるからまた捻挫が骨折だろう。

「また無茶したね。」
「しょうがねぇだろ、反撃する訳にはいかねぇし。なぁ、螢。ここら辺で安く家を売ってる店とかねぇか?」
「知らない。……なんで…?」




_______________家、売られちゃった。




すまん、と笑う澄は全く反省してない。
「澄兄さん、俺達野宿………?」
「いや、最低でも彗だけは澪月の家にまだいさせてもらえ。」
「え、でも………。」
あの家にはまだ服とかあったんだろう。全くどうするのか。

「とりあえず、夏休は何とかな、痛てぇっ、ちょ、消毒染みる!」
「ご、ごめんね!……でも、傷口に菌が入ったらダメだよ。」
澄は何時ものパーカーを脱いで哀川さんに消毒等をしてもらってる。何故かイラつく。澄がこっち見てたまにドヤ顔するのが。
だけど、そういう感情があったとしても、澄の手当を辞めさせる訳にはいかない。澄のパーカーの下は前あった傷よりも深くたくさんの跡がついていた。

「家については、水谷さんに後で聞いてみるから…っ。今は動かないでっ。」
「まじかっ!サンキュー。」

「……澄兄さん。」
「おー、なんだ?」

_______________約束守ってくれて、ありがとう…………。


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