ワケありルームシェア 2
「おうよっ、兄弟だもんな!」
「…うん。」
拳をぶつけ合う2人。こんなことするのはここの兄弟だけじゃないの。なんて思ったけど、理駆先輩達の所もやりそうだから口を噤む。僕達はこんな事しないけど…。兄さんはやりたがるけど。

「で、澄。家を売られたって何。」
「えっ、あー。ちょっと親にイラってくること言われて“こんな家くれてやるっ!”って言ったら今日起きた時には売られてた。」
馬鹿なの。ここまで馬鹿だと思わなかったよ…。
「大切な思い出とかなかったの?」
「…別に、俺は無くてもいい。あの家…。」
「まぁ、俺も何もねぇもん。あの家には。」

「じゃあ、ここのマンションに住む?」

「え、それ嫌だ。」
僕の拒否の言葉も聞こえず。
「いいのか!?」
「…いいの?」
霧谷兄弟は案外嬉しそうだ。
「水谷さんに聞いてみるね。あれ、今どこにいるんだろう。」
そう言えば、最近見ない。いや、最近でもないか。前何か言ってたような、言ってなかったような…。まぁ、いいか。
「ちょっと今から電話してみるね。水谷さんだからすぐいいよって言いそうだけど…。」

そして、哀川さんはどこかへ向かった。

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