ワケありルームシェア 2
哀川さんが戻ってきた。哀川さん曰く“勝手に空き部屋使っていいよ〜、あ、水谷さん帰ってきたらお金取るから!そこんとこよろしく〜。”だそうだ。
「多分水谷さんの事だからベッドとかは予備で置いてあるはず。今から見に行ってみる?」
「あぁ。頼む。」

それで、哀川さんと澄は家から出ていった。
「……いいの?…澄兄さんに、取られるよ…?」
「澄は取らないよ。」
なんでこんな確信があるのかはわからないけど。だけど、2人だけは少しむっとくる。あまりいい気はしないね。
「…僕、部屋にもど、」
_______________プルルルル、プルルルル。
携帯が震える。画面に映し出されたのは“瑶”の文字。兄さんからだ。
「………もしもし。」
『けぇぇえい!会いたかった!兄ちゃん仕事で死にそうだ!』
「…うるさいと切るけど。」
耳元で騒がれると困る。職場の人はいつもこんなに面倒な兄を構ってるのか。大変だ。
「で、何?」
『お盆だけそっちに帰る日が出来るらしいから螢の家見に行こうと思ってさ。』
「来ないで。」
『反抗期かぁ?ま、兄ちゃん暇だし。いつか行くからなぁ。じゃあ。』
そして切れる。いや、反抗期とかじゃなくて…。

「緋山君、澄君の部屋見つかったよ。って、あれ…?緋山君、元気ない?」
「螢が元気ないのはいつもの事だろ?あ、彗!部屋見つかったぜ。ここの真下の階の奥から2番目。結構いい部屋だぜ。大谷が帰ってくるまで無料だから。澪月、ありがとな。」
「大丈夫だよ。緋山君も友達がこっちに来てくれてよかったね。たくさんお話できるよ。」
そう、反抗期ではなく、ルームシェアがバレたくないのだ。兄さんはなんて言うか。絶対反対だろうな。うわぁ、最悪だ……。
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