ワケありルームシェア 2
_______________グイッ。
「ひ、緋山君!行っちゃうの…?」
哀川さんが僕の服の端を掴んだ涙目の哀川さんがいた。
「後で連絡入れるから、大丈夫。」
そして、あることを思い出す。


_______________ギュッ。


「緋山君?」
哀川さんは僕の腕の中。まぁ、僕が哀川さんを抱きしめてる状態。急でびっくりしたかな。
「急にどうし、」
「今日、握手してないでしょ。その代わりとして、ね…。大丈夫、安心して…。僕を信じて。」
哀川さんと目を合わせる。一瞬驚いた様な顔をする。だけど、その後小さく頷いた。
これくらいは付き合ってなくても許して欲しい。

そして、僕と兄さんは哀川さんに見送られながら外へ出た。蝉の声が聞こえる。水谷さんがいたらどうにかなっただろうか。まぁ、僕だけでどうにかしてみせるけど。

「螢、あれで付き合ってないのか…っ!?……でも、……澪月ちゃん泣かせちゃったなぁ。なんか、悪いことしたなぁ……。」
本気で落ち込む兄。

さぁ、どうしようかな…。
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