幼馴染の彼~あの日の約束~
「偶然、歓迎会で来てるんだってね」

 いきなり言われて驚いたのか、智弥は瞬いてみせた。その表情にクスッと笑って

「知り合いから聞いたの。満元物産の人達が歓迎会やってるって」


「知り合いって誰?」


「片桐さん」

 その名前にまた驚いた表情を見せた後、小さな声でこっちにも知り合いがいたのかと呟いた。

「怜美は?今日は何の集まり?」


「会社のメンバーと飲みに来てるの」


「へぇ・・・」


「何?」

 あからさまに不機嫌そうな表情を見せた。
 何かご機嫌斜めらしい。

「飲みながら、男の頭、撫でるんだなぁと思って」


「撫でてなんかいないじゃない」

 思わず、ムッとして言い返すと、何故か智弥が1歩近づいたので1歩下がる。

「いつもあんなに優しいことしてあげてんの?」


「はぁ?何、言ってんの」

 また1歩、1歩と近づいてきて、1歩1歩下がると廊下の壁に背中が当たった。もう、逃げ場がないって感じ。

「そういう智弥だって、女の子達に囲まれて楽しそうに笑ってたじゃない、同じようなもんでしょ」

「あれ、見てたんだ。確かに話はしてたけど、女の子達の頭撫でたりしてないけど?」
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