幼馴染の彼~あの日の約束~
「じゃあ、そろそろお開き~」

 真子の言葉で、みんなも「お疲れ~」と言って立ち上げる。
 ちらっと、奥座席に視線を向けると、向こうはすでに終了していたらしく、数人の店員が後片付けしている最中だった。

 智弥のせいで、額はずっとあの感触が残っているし、会話も心ここにあらずって感じでぼーっとしてたのか、真子から「あれ、珍しい。酔うほど飲んだの?」って聞かれるし。

 疲れを発散するために飲みに来たはずが、かえって疲れたような気がする。

 お店の出口で、「解散、またね~」とそれぞれが手を振って別れようとしたとき。
 携帯メールが鳴った。

『前のコンビニで待ってる』

 それは智弥からで、横断歩道の先にあるコンビニを見ると、何かの雑誌を手に立ち読みしている智弥の姿があった。

「真子、お疲れ。私、ちょっとコンビニ寄ってから帰るよ」


「そ?じゃあ、また週明け会社でね。お疲れ」

 真子と笑顔で手を振った後、私はコンビニへ向かった。


 コンビニの自動ドアを開ける前に、もう1度みんなと別れた場所を振り返る。
 みんなはすでにその場所にいないことを確認して、ほっとしながら自動ドアを開けようとした瞬間

「怜美」


 急に声をかけられて、びくっと肩が上がり、智弥が目の前にいた。

「びっくりした」


「なんでだよ。ほら、帰ろう」

 
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