幼馴染の彼~あの日の約束~

 そんな話を聞いてから1か月たたないくらいに、またお母さんから自宅来てメールが届いた。


 いつもは仕事を理由に1か月半~2か月くらいを目安に実家へ帰っていたが、お母さんからわざわざメールがあったということは、何かあったのかもしれない。


 もしかしてお父さんに何か?と、不安がよぎり電話をかけると、私の気持ちとは裏腹にお母さんは明るい声だった。
 
 内心ホッとしつつも、気のない素振りで話を聞く。


「メール確認したけど、何でまた週末に実家に帰らなきゃいけないの?」



「何よその言い方、実家なんだからいつでも帰ってくればいいでしょ?わざわざ一人暮らしする必要もなかったのに・・・」


 やばい、また愚痴が始まる。
 
 両親は1人娘の私のことを心配して最初から一人暮らしは反対だった。それを自立したいと半ば強引に始めてしまったせいで、少しでも渋ったような返事をすると、お母さんはこんなふうに言い出す。しかも、言い出すと長いから正直めんどくさいことはわかっていた。

 

「ごめん、ごめん。何かあるんだよね?」

 
 謝ることで会話を中断させると、お母さんはいつになくご機嫌に戻るのが早かった。


「そうなのよ、聞きたい?」

 
 含み笑いの声で焦らされ、イラッときたが平常心、平常心とこころでつぶやき、


「何?」


「相変わらず、そっけない子ね」


「ごめん、早く教えて。私も仕事帰りで疲れているんだからさ」

 
 何よ、と文句言いたげだったが、話を続けることを優先してくれたようで、ふふっと笑い声が聞こえた。

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