幼馴染の彼~あの日の約束~
「・・・ごめん」


「さっきから、謝ってばっかりだな」

 クスクスと智弥が笑うが、私は逆に泣けてくる。
 美味しいお酒で久しぶりに酔ってるせいもあるのかもしれないけど。

 目をウルウルさせながら、智弥を見ると、智弥は驚いた表情を見せた。

「私、まさか、祝ってもらえるなんてほんっと考えてなくて。まぁ、自分の誕生日忘れてたくらいだから・・・だけど、智弥は覚えてくれてて、美味しい料理や、こんな素敵なプレゼントまで用意してくれたのに、私ったら・・・ほんと・・・」

 その時、グイっと肩を引き寄せられた。そして少し覗き込むように智弥の顔が近づく。

「泣くほど感動してくれてるってこと?」

「感動してる半面、申し訳なさもあるっていうか・・・」

 頬につつっと零れた涙を、優しく指でふき取ってくれたと同時に、ふき取った反対の頬に流れた涙に智弥の唇が触れる。
 思わず、ピクっと小さく肩が震えた。

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