幼馴染の彼~あの日の約束~
 結局、日曜日の夜まで智弥と一緒に過ごした。

 そして、今は、私のマンションの前。

「明日、一緒に出勤したかったなぁ」

「い、嫌よ!着替えないで行くなんて」

 そんなことしたら、絶対、真子になんか言われるのは想像できた。
 クスっと智弥が笑ったあと

「これ、スペアキー。いつでもうちに来て。っていうか、毎日でもいいから。仕事から帰って怜美がいたら、俺的には最高に嬉しい」

 そういいながら、カードキーを手渡された。
 
「料理できないのに、家にいるっていうのもなんだか・・・まぁ・・・ありがと」


「料理はできなくてもいいじゃん。帰り、何か買ってくればいいんだし、簡単なものなら俺が作る」


「仕事で疲れてるのに?」


「今までも、そうしてきたし。なんの問題もない」

 いきなり、グイっと腰に手を回され、引き寄せられると唇にキスされた。
 不意打ちもいいところだ。

 というか、同じマンションの人に見られたらどうするのよ!
 耳まで真っ赤になって俯いていると、抱きしめたまま

「やっぱり、着替えとか持ってきて、戻ろう? 今夜から一人で眠る自信がない。寂しくて俺、死にそう」

「な、何言ってるの!?眠れないわけないでしょ」


「え、怜美は1人で眠れるんだ?」


「うん」


 一つ返事をすると、智弥は大げさなくらい大きな溜息を吐いた。


< 41 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop