幼馴染の彼~あの日の約束~
 仕事が終わり、会社の外に出たら知り合いの顔があった。

「あれ、片桐くん?」

 会社帰りであろうスーツ姿の片桐くんが、石段になっている階段の壁に寄りかかるように立っていた。

「怜美ちゃん」

 私に気がつくと、ほっとしたような表情で近づいてきた。

「こんばんわ、真子待ちですか?彼女ならもうすこ・・・」

「怜美ちゃんを待ってたんだ」

 え?私?
 首を傾げながら、人差し指で自分を指しながら聞くと、片桐くんは、うんうんと頷いて見せる。

「今日、近場で仕事だったんだ。もしかしたら会えるかなと思って真子にメールしたら、まだ居るって返事きたから寄ってみたんだ」

 へぇ、と曖昧に返事をすると、いきなり片桐くんが右手を握ってきた。
 え!?と驚く私を無視して、手をつないだまま歩き出す。

「今から、プラネタリウム行こうよ。時間的にまだ間に合うし、そのあと夕食にしてさ」


「え、ちょっ、ちょっと片桐くん、待って」

 なんかいつになく、大胆だし、早口だし、早歩きだし。
 どうしちゃったの!?
< 48 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop