幼馴染の彼~あの日の約束~
「新しくできたパスタ店なんて夕食にどう?会社の人に聞いたら美味しいらしいんだ」

「片桐くん、その前に手!!」

 会社の敷地内に近い場所で、片桐くんと手をつないでいるところを会社の誰かに見られたりしたら、誤解されちゃう。

 それでなくたって、イケメンっていうだけで、目立つのに。

「手?」


「手をつながなくても・・・」


「逃げない?っていうか、俺はつないで歩きたい」


「は?」

 逃げない?
 俺はつないで歩きたい?
 目の前にいる片桐くんは本物?


 いつもの彼らしくなくて不安を感じた。


「ごめん、強引で」


「どうしたの?らしくないよ」


 彼は何も言わずに、つないでいる右手を、きゅっと少し強く握り返してきた。
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