幼馴染の彼~あの日の約束~
 とりあえず、路地裏に隠れるように3人で入る。

 状況が呑み込めない片桐くんが不思議そうに智弥を見ていた。

「手、外しませんか?話にくいですし」


「あ、うん」

 慌てて片桐くんが右手を外す。
  
 片桐くんには手を外すように言ったくせに、智弥は私の左手は逆にギュッと強く握ってきた。

 しかも、くいっと引っ張って私自身まで近づける。

 その態度にさすがの片桐くんも「え?」という表情を見せた。

「怜美と幼馴染なんです。昔からよく知ってるんですよ」


「あ、そうなんだ」


「で、彼女です」


 その一言に片桐くんは固まった。
 きっと、頭の中が混乱しているんだろうなと、第3者になって、様子をうかがっていると、片桐くんが急に青い顔になった。

 状況が呑み込めたのかな。

「え、ちょっと、待って!?怜美ちゃんと秋山って付き合ってるの!?」

 驚きを隠さず慌てている片桐くんに対し、智弥は冷静というか、怒りが頂点に達しているというかものすごく落ち着いている。




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