幼馴染の彼~あの日の約束~
「えぇ、しかも同棲してる仲ですよ」

 そこまで言う!?

 にっこり、営業スマイルでさらっと片桐くんに伝えると、彼はもう何を言っていいのかわからなくなったようで、酸欠状態の鯉のように、口をパクパクしているだけだった。

 しばらく片桐くんは私たちを見つめていると、大きく溜息をついた。

「そっかぁ・・・怜美ちゃんの相手は秋山だったのかぁ」

 ものすごく残念そうな表情になって、見ている私の方がつらくなった。
 別に隠してたつもりはないんだけど、なんか、ごめんなさい。


「付き合いはじめたの、最近でしょ?」

 苦笑いしながら聞いてくる片桐くんに、私は頷いた。

「最近、怜美ちゃん、グッと女らしくなったからなぁ。もしかして男!?と思って、真子に探り入れたらさ」


『どうだろう?聞いてないからわかんないけど、確かに男できたのかもねー、早くしないと盗られちゃうよ?』


「なんて、言われて。焦ってみたけど、時すでに遅いって感じかぁ、まいったなぁ。こんなことなら、もっと早くに告っておけばよかったよ」


 ポリポリと頭を掻くしぐさを見せて、はぁとまた溜息をつく。

「もし、片桐さんと怜美が先に付き合っていたとしても、俺、怜美を奪いますよ」

 智弥から笑顔が消え、真剣な眼差しで答えた。
 さすがの片桐くんも少し怯んだ。


「それだけ、仲がいいってことか。ご馳走様、怜美ちゃん、強引なことしてごめんね」


「いえ、これからも変わらず飲みに誘ってね」


 うんうんと片桐くんは笑顔で、じゃあ、と言って来た道へ戻っていった。




 
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