幼馴染の彼~あの日の約束~
「飲みに誘ってね、か。随分、余裕だな」


「別に2人でって言ってないじゃん。みんなでって意味だし。智弥、よく片桐くんが来ることわかったね」


 その問いにあぁと返事をした。

「今日、朝から様子が変だったからね、やたらとソワソワしてたし、仕事中もなんか気がそぞろって感じで。なんかあるなって」

 ぎゅっと抱きしめられた。

「よかったよ、後ついてきて。あのまま2人でどっか行ってるのわかったら、俺、片桐さん殴ってた気がする」

 いや、気がするんじゃなくて殴ってたわ。
 危うく暴力沙汰にならなくて良かったという気持ちより、怖いわ、智弥と心の中で呟いた。


「さて、右手」

「右手?」


「つないで帰るよ。消毒」


「消毒って・・・」


「他の男の温もり感じてるだろ?ほら、俺の手でそんなの消すから」


「ヤキモチ?」

「朝まで、たーっぷりお仕置きな?」


 にっこり、智弥は笑ってみせた。

 やっぱり、怖いわ、智弥。





< 53 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop