幼馴染の彼~あの日の約束~
 気が付いた時には、自分のマンションのドアの前にいた。

 ここまでどうやってきたのかも覚えていないほどショックが大きかったことに気付く。

「・・・片づけしなきゃ・・・」


 呟くように言いながら鍵でドアを開けると、すこし紙のような香りが鼻についた。

 部屋の電気をつけると、箱詰めされた荷物がいくつかと手つかずの段ボールがが壁に立てかけられている。

 部屋の真ん中あたりまでくると、ペタンと私は座り込んだ。

 頭がボーとして上手く思考が働かない。

「なんか、疲れた」

 さっきから、智弥と若い女性の2人が脳裏から離れない。

 何回も何回も頭を振ってもとれなくて、不安ばかりが募っていく。

 携帯を取り出した。

 一言メールで『今、誰かと一緒?』って送信してみたら、智弥はなんといって返してくるだろう。

 もしかしたら、会社の子かもしれないし、ただの後輩かもしれない。

 でも、あんなに親しげに腕を組んで歩くだろうか。

 色々、考えすぎて疲れてしまったのか、意識がだんだん薄れていくようだった。
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