幼馴染の彼~あの日の約束~
 目の前に映った景色は。リビングにある3人掛けソファに、寄り添うようにくっついている頭が2つ。

 ちょうどソファは入り口からは背面になっているため、ソファに座っている2人は気が付いていない。

 ドアが開けば開いていくほど、景色もより鮮明となり、2人がソファで何しているのか、よくわかった。

 女性が、智弥に抱きついている。そして、智弥は右手でその女性の頭を優しそうに撫でてている。

「!?」

 あまりの衝撃的な出来事に、軽い眩暈を感じ、トンと壁に体がぶつかった。

 その音に気が付いた智弥がゆっくり顔だけ後ろに向け、私と目が合うと驚いた表情を見せた。

「怜美!?」

 慌てて立ち上がる彼に、隣にいた女性もこちらを振り返った。

 !!

 街で智弥と一緒に歩いていた人だ。

 頭が真っ白になり、体が微動だに動かない。

「あれ、今日、実家へい・・・ちょっ、怜美!?」

 智弥が近づいてきたと同時に、固まっていた体が急に軽くなったような気がして、思わず、走り出した。
< 69 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop