幼馴染の彼~あの日の約束~
 昼休み。

 いくつかの女性グループの中では、朝、壁に寄りかかっていたイケメン男性の話で花が咲いていた。

 聞きたくもない会話が嫌でも耳に入ってきて、お昼のお弁当がうまく呑み込めない。

「真子さんのお弁当と怜美さんのお弁当の中身一緒ですね?」

 一緒に食べている後輩がお弁当の中身を覗きながら聞いてきた。真子がにこっと笑って

「そうなの。今、同棲中なのよー」

 冗談まじりに答えると、後輩はいいなぁと返事をした。

 このまま、ずっと真子のところに転がり込んでるわけにもいかないし。

「真子、今日は帰るよ・・・帰るって言っても実家にだけどさ」

「え? まだ居ればいいじゃん。私はいてくれていいのよ? 久しぶりに怜美を独占できて嬉しいし、一緒にいて楽しいし、なんといっても美味しい料理食べれるしね」

「ありがと。でも、実家も心配してると思うから、顔出さないと」

「それもそうだよねぇ・・・わかった。実家で心の整理がつかなかったら、また私のところに来なさいよ?いい?独りで抱え込むのは禁止よ?」

 姉御肌の真子は本当に面倒見がいい。

 真子の優しさに救われた。

 「ありがと」

 もう一度、お礼を言うと、真子は笑顔で返してくれた。
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