幼馴染の彼~あの日の約束~
「ただいまぁ」

 実家のドアを開けながら、帰宅したことを告げ、靴を脱ぐ。

 リビングへ向かうと、お父さんがソファに座って野球観戦をしてて、お母さんは夕食の準備をしていた。

「お帰り、もうじきできるからね」

 実家を出るまでと何一つ変わらない日常があった。

 私は鞄を近くの椅子へ置くと、台所へ向かう。

「何?」

「手伝う」

「あら、いいのよ?仕事で疲れてるでしょ、すぐできるから怜美も休んでなさい」

「これ、洗えばいいの?」

「ありがと」

 お母さんはそれ以上、何も言わず。私は黙々と洗い物に徹した。

 夕食時も、最近のニュースの話題や、近所の話で盛り上がり、必ず1回は出ていた「智ちゃん」は封印されたかのように、話題に出てこなかった。

 お父さんは相変わらず、よけいなことは言わないしお母さんの会話に時々返事をするだけ。

 お母さんは気遣ってくれているのがよくわかる。

 いつもみたいによけいな一言が何一つ出てこないから。

 27にもなって、親に心配かけてるようじゃ、私もまだまだねっと自嘲する。
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