幼馴染の彼~あの日の約束~
「起きてるよ」

 そういって、ドアを開けると、目の前にお母さんじゃない人が現れて、心臓が飛び上がる。

「・・・とも・・・や」

 気まずそうな表情をした智弥がいた。

 そして、智弥の背中から顔をひょこっと出したお母さん。

「怜美と連絡ついたら、教えて下さいって言われてたから、お風呂入ってる間に電話したのよ。何があったのか知らないけど、いつまでも逃げていても先に進まないでしょ?」

「ごめん、怜美。俺が無理言ったからであって、珠子さんは悪くないから」

 驚いた表情にはなっていると思うけど、お母さんに対しても智弥に対しても怒ってはいないのに、何故か、智弥は怒られている子供のように、オドオドしている。

 そんな智弥を背中からお母さんが押して、私の部屋へと押し込むから、私は後ろへと一歩一歩下がる。

「お父さんもいるし、何かあったら大声出しなさい。いつでも助けるから。智ちゃんも頑張りなさい。じゃあね」

 そういって、ドアを閉めがてら、お母さんは最後に智弥に笑顔を見せると、智弥は「あ、はい」と、小さく返事をした。

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