となりの弱虫ヒーロー【短編】

弱虫ヒーロー

▷となりの

なんでこう、漫画みたいにタイミングよく会ったりするかな。


目の前に群がる、眉を吊り上げた香水くさいギャル達の向こうに君を見つけて、思わずため息をついた。


「おい、テメェどこ見てんだよ！」


胸ぐらを遠慮なく掴まれて、視線が彼女たちに戻される。


至近距離で見ると、目の周り、真っ黒。


ていうかさ、


「いきなり人の家押しかけてきて、なんなの」


「はぁっ！？」


彼女たちの事は知ってる。


なぜなら私たちの高校で有名な生徒だから。悪い意味で。


でも、そんな素行不良の生徒に突然家まで来られて玄関で絡まれるような事した覚え、一切ないんですけど。


少しずつ近づいてくる君に、焦りが募る。


君には、こんなところ見られたくない。


「あんた、悠馬のコトたぶらかしたんだろ？
エミがバッチリ見てたってよ。
あんたが悠馬を誘惑してるトコ」


ぽん、ととなりの金髪女子の肩に手を置いた彼女は、怒りで顔が真っ赤。


いや、でもちょっと待て。