となりの弱虫ヒーロー【短編】
「悠馬って、誰」


かなり小さな声で呟いたけれど、なんせこの距離。


「は?シラ切ってんじゃねーよ!
あたしの彼氏だよ、彼氏!
あんたが手出そうとしたんじゃねーか」


彼女たちを余計に怒らせてしまう。


知らねーよ、と思う。


誰だよ、そんなデマ流したの。あ、エミさんか。


なんてくだらない事を考える。


高校に入ってから、こんな風に絡まれるのは、実は3回目だ。


3回目ともなれば、相手の行動パターンはだいたい掴めてくる。


そんな事より、最大の問題は、君だ。


君がこれ以上近づく前に、なんとかしなくちゃ。


これまでの2回とも、無言を貫けば相手はすぐに去っていった。


きっと今回も、いけるはず。
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