(完)嘘で溢れた恋に涙する
長い沈黙が続いた。




静かな教室で次の言葉を発したのは美結だった。



「理玖、ちょっと落ち着いてよ。確かに聖奈は酷いこと」



だけど。理玖は美結に最後まで喋らせなかった。




「美結、お前俺のこと好きだったろ」




「な、どうして」




理玖から飛び出た衝撃の言葉に美結は動揺を隠せていなかった。




「わかりやすいんだよ。
俺と由姫が付き合った後も、しつこく間に入ってきてさ。
お前別に由姫と仲良くなんてする気なかっただろ?
頃合い見て奪い取ろうとか考えてたんだろ」




蔑むように美結を見ながらそう話す理玖は私の知っている理玖じゃなかった。




美結はぎゅっとスカートを握りしめていた。




何も言い返さなかった。




「もう全部嫌なんだよ。
お前ら表面上は仲良くしても、実際裏じゃそれぞれで文句言ってばかりじゃねえか。
何が田舎で人は少ないけど絆は強いだよ。
お前らに絆なんてないだろ。
所詮、人間なんてそんなもんなんだろ。
人の不幸にしか興味がない。
いつも誰かを出し抜くことしか考えてない。
まじで馬鹿じゃねえの」





怒りに震えたその声は、理玖がたくさんの苦しみを背負って生きてきたことを教えてくれる。





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