(完)嘘で溢れた恋に涙する
走って、走って、私の家も通り過ぎる。



のどが焼け付くように痛い。



もう、何も喋れる気がしない。


曲がり角を曲がったところで、やっと理玖は立ち止まった。



「はっはっはっ」




思うように息を吸い込めない。




膝に手をついて肩で息をする。



顔を上げると、そこには私の暮らすおばさんの家と似た作りの家が建っていた。




「ここ、俺ん家。入りなよ」



理玖の読めない表情が怖かった。



どうして理玖の家に来たのかもわからず、言われるがままに開けられたドアから家に足を踏み入れた。






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