(完)嘘で溢れた恋に涙する
気づけば私はいつか理玖に連れられて行った理玖の思い出の場所にいた。



あの日は綺麗な夕焼けが見えたけど、時間も違うし、天気も悪いから気味が悪い。



ぬかるんだ地面を踏み分けて歩いていたけど、小さなくぼみにつまずいて倒れこんでしまった。



それが境だった。


もう誰も見てない。




雑木林の中で大声をあげて泣いた。




拳で地面を叩きながら、雨に顔を濡らしながら泣き続けた。




振り続ける大雨が私の泣き声をかき消してくれる。




そして謝り続けた。




今はもういない理玖の家族に対して。




「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめっ」




何度謝っても許されるわけがない。




ねえ、神さま、もし願いを1つ叶えてくれるのなら、あの日に戻してください。




私のお父さんが理玖の家族を奪ったあの日に。




私は死んだって理玖の家族を守ってみせるから。





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