(完)嘘で溢れた恋に涙する
理玖のまばゆい笑顔に無理やり笑顔を返していると、そこでチャイムがなり席に着いた。



1時間目は国語。
担当の先生が入ってきて、日直が号令をかけたらそのまま授業が始まった。


止まることを知らない動悸を何とか落ち着けようと、心臓に手を乗せていると、あることに気づいた。


しまった、教科書がないんだった。


私の転校は突然決まったから教科書の注文が間に合わず、授業が始まる前に各先生に申し出なきゃいけないんだった。


それどころじゃなくて、すっかり忘れてた。



みんなが教科書を開いて、先生の言葉通りに文字を追っているのを見て、今更申し出る勇気が出なくて尻込みしていた。


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