(完)嘘で溢れた恋に涙する
生まれてからこのかた何不自由のない生活を無償で提供されてきた私にとってあの日からの生活は耐え切れるものじゃなかった。




長い間外に行けず、光に当たれなかったせいで、それからしばらくの間暗闇を異常に恐れるようになったし、




弁護士の人が買ってきてくれるのを待たないと食事はなかった。




そもそも、毎日高級料理を食べていた私の口に普通の食事は合わなかった。




ライフラインを断ち切ってしまったせいで、お風呂に入らない日々も長く続いた。




お母さんはお父さんの面会に行ったり、警察の事情聴取に行ったり、会社に出向いたり、毎日どこかに出歩いていた。




結婚してからはずっと温室暮らしだったお母さんがそんな生活を平気で送れるはずもなく、帰ってきたらすぐにぐったりとして眠り込んでしまっていた。





そのせいもあって私は何日も何日も言葉を発さず、死んだような生活をしていた。





あの日々は私にとって地獄以外の何者でもなかった。



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