(完)嘘で溢れた恋に涙する
その中で私の原動力となっていたのはお父さんに対する憎しみだけだった。




私はお父さんが逮捕された後から一度も直接会っていない。




何度もお母さんに面会に行かせてくれと頼んだけれど、頑なに断られた。




原因はすぐにわかった。




マスコミがあまりいない真夜中にこっそりつけたテレビのニュースで拘置所から輸送されるお父さんの姿を見た。




ボサボサの髪の毛に、だらっとした洋服はわたしがずっと見てきたお父さんからは想像も付かない姿だったけど。




周りの報道陣をゴミのように見る目と、自分がまるで王様かのようにふるまうその姿は少しも変わっていなかった。




反省なんて微塵もしていないんだ。




あれだけのことをしておいて、お父さんは、いやあの恐ろしい男は平然としている。




信じられなかった。




あの親子だけじゃなくて私たち家族も絶望のどん底に突き落としておいてあの態度は何だと。




テレビ画面を突き破ってしまいたかった。





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