(完)嘘で溢れた恋に涙する
そのニュースのコメンターも「ひどい態度だ」とお父さんをなじった。



もう私はお父さんをお父さんと思いたくない。



あんな恐ろしい男は私のお父さんなんかじゃない。




そう憎んで、憎んで、お父さんの目の前で文句を吐けないのが悔しくてたまらなかった。





事件から数ヶ月が過ぎて、やっと家の周りのマスコミも減って行き、私とお母さんは近くのアパートに引っ越した。




前の屋敷に比べたら、その住み心地はとても良いとは言えなかったけど、カーテンを開けて生活できるだけでもう十分だった。




そして、お母さんはまだ反対していたけれど、私は学校に行くことにした。




何日も授業も受けず、一人で教科書を眺めることしかできなくて、みんなに追いつけるか不安でたまらなかったし、




早く人と喋りたかった。




久しぶりに学校に行く日の朝は久しぶりにすっきりと目覚めて、朝ごはんもスルスルと喉を通った。




まだ外を出歩くのは危険だということで、弁護士の人とお母さんに車で送ってもらった。




遠足や文化発表会の前のドキドキに似た胸の高鳴りを感じていた。




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